安息日の律法は廃棄されたのではなくイエス・キリストへの信仰によって確立された


(1)
安息日については、旧約時代のこの制度は、来たるべきメシアにある安息の象徴として守られていました。

しかし、新約時代において、イエスという実体が現れたので象徴は不要になりました。

イエスご自身が、「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」(マタイ11・28)と言われたように、イエスを信じる人々はすでに安息の中に入ったので毎日が安息日であり、休むことができます。

ですから、宗教的な戒律としての安息日はイエスにおいて成就され、イエスを信じることによって今私たちは毎日守っていることになるので、日曜日や土曜日など特定の日に休まなければならないという規則はありません。(*)(**)

そのため、誰かが「あなたは日曜日に休んでいない。クリスチャンなのか?」と問われたら、「私は、イエス・キリストにあって安息の中にいるので、日曜日を含め、毎日守っています。」と答えることができます。

(2)
律法には「被造物は、このようにできているので、その規則に合わせるのがベターである」という意味も含まれています。
律法は「人のために作られ」ました。

「安息日は人間のために設けられたのです。人間が安息日のために造られたのではありません。」(マタイ2・27)

神は、人間(及び他の被造物)の肉体的・精神的な性質を「6日に1日休むのがいい」という前提で作られています。

ですから、律法は今日において肉体的・精神的な健康のためによいという意味で6日に1日仕事を休む「ほうがいい」のです。(**)

(*)
今日でも安息日の律法は宗教的に拘束力があるとする人々がいますが、では、それらの人々は「安息年」も守る必要があります。7年に1年まるまる休む必要があります。

また50年に2年まるまる休む必要があります。

また、旧約時代の暦の制度は今のそれとまったく異なっていました。

日付と曜日が固定されていました。たとえば、1月14日は必ず金曜日または土曜日になるとか。

そのため、安息日が義務であるとすれば、まず暦制度そのものを変えなければなりません。

今の日付と曜日が固定されていない暦制度においていくら当時の「金から土曜日にかけての1日」を安息日として守っても自己満足にしかなりません。

(**)
他と区別して聖なる日、いわゆる「聖日」というものは存在せず、すべての日はキリストの安息の日であり、聖なのです。ちなみに、「聖地」というものも存在しません。全地はキリストの十字架によって神と和解しています(コロサイ1・20)ので「聖地」なのです。

(***)
それでは、「殺人者を処刑せよ」という律法も守る「ほうがいい」ということになるのか、と尋ねる人がいるかもしれません。

答えはノーです。

新約時代において、律法は「確立された」のであり、廃棄されたのではないので、あらゆる律法は有効です。

ただし、安息日の律法が旧約聖書の記述どおりに守らなくてよいのは、すでに申し上げたとおり、「イエス・キリストへの信仰によって毎日守っている」からです。

ですから、安息日の律法は廃棄されたのではなく、確立されているのです。

さて、人間は、神と人と被造物に対して責任があります。

神に対する責任はイエス・キリストの十字架において成就されていますので、信仰によって赦されますが、人間や被造物に対する責任は相手に対して残っています。

ですから、1万円を盗んだら、被害者に最低でも1万円を戻して「原状復帰」する必要があります。(律法では盗みの場合、4〜5倍の償いがあってはじめて原状復帰します。出エジプト記22・1)

無許可で他人の庭先に穴を掘った人は、その穴を埋めて平らにする責任が最低でもあります。

人を傷つけたら、同じ傷を負わせられなければなりません。

「目には目、歯には歯」の原則です。(ただし、傷害については、実際には贖い金を払って解決できました。目を損なった場合には、それにふさわしいお金を払うことができました。同じ傷を負わせるか、お金で解決するかは、被害者が決定できました。)

命を奪う行為について、過失の場合は、償い金で解決できますが、故意の場合には解決はできません。国家は、必ず命を奪わなければならないのです。

律法では「計画的殺人は贖い金を取ってはならない。必ず殺さねばならない」とあります。

「あなたがたは、死刑に当たる悪を行なった殺人者のいのちのために贖い金を受け取ってはならない。彼は必ず殺されなければならない。」(民数記35・31)

新約時代においてこの律法が廃棄されたという記述がないので、この律法は今でも有効であり、それゆえ、国家は故意の殺人者を処刑しなければなりません。

 

 

2014年10月19日



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