米国の対中国政策の転換
ニック・ビームの論文『アメリカの対中国戦「大戦略」』を読むと、イルミナティの中国に関する考え方がよくわかる。また、TPPや日本の再軍備化の目的もわかる。
以下要約。
米外交問題評議会の後援のもとで背筋の凍るようなレポートが出された。そこでは、対中国政策に関する米国の外交関係者の議論が紹介されている。
『米国の対中国戦略の改定』と題したこのレポートは、対中国戦計画にほかならない。
レポートの筆者であるロバート・D・ブラックウィルとアシュレー・J・テリスはいずれも米国国務省や様々な米国外交政策シンクタンクとつながりのある人物だ。
レポートの中心的テーマは「米国の世界支配が中国の台頭によって脅かされており、この過程は経済的・外交的・軍事的な手段で逆転させなければならない」というものである。
筆者によると、中国は地域支配及び最終的には全世界支配を目指す「大戦略」を持っており、米国の地位を脅かすようになった原因は、現在の国際的秩序の枠内における中国の経済発展にある。
ドイツの指導者の意図がいかなるものであったにせよ、ドイツの経済成長は大英帝国に対して脅威であり、結果的に、7年後2つの国家は戦争に突入した。
中国はドイツほどの帝国主義国家ではないが、その経済発展は米国の地位を揺るがしている。
「アメリカが中国を自由主義的国際秩序に『組み入れ』ようとしたことが、現在アジアにおける米国の支配を脅かし、最終的には米国による世界支配に対する脅威となる可能性があるので、ワシントンは、中国の成長を支援することをやめて、中国の台頭を抑え込む(balancing)ことを主眼とする対中大戦略を必要としている。」
そのため、この「大戦略」の中心は経済であり、中国に対抗するには、アジアにおいて、中国を除外した貿易関係を新たに作必要がある。また、中国がアジアや他の地域において地理経済的ツールを広範に利用している現状に対処するための効果的なツールを作るべきである。さらには、米国の同盟国や志を同じくするパートナーと協力して、対中国の技術支配機構を新設する必要がある。
それゆえTPPはきわめて重要であり、TPPの形成に失敗するならば、米国の大戦略は「深刻な打撃」を被るだろう。
経済だけではなく、軍事面でも対策を講じる必要がある。
その点で、日本との関係は、もっとも重要である。
アジア全域をカバーすべく米日安全保障関係を拡大し、日本軍をグレードアップし、空及び海での戦闘、中国本土の軍事施設に対する大規模な攻撃、弾道ミサイル防衛における日本との協力を強化するといった考えを日本と共有すべきである。
いかなる報復をも無効にすることを目的とするミサイル防衛システムは先制戦略にとって重要である。
続いて、韓国、オーストラリア、インドとの協力について記されている。
米国は、中国との「ハイレベルな外交」を活性化し、「本質的に深刻な緊張を緩和」し、「アジアにおける米国の同盟国と友好国を安心させる」必要がある。その目的は、中国との対決を回避することにある。
このような矛盾に満ちた政策は、米国の戦争における重要な動因である「思想的前線における攻撃」が原因である。
つまり「ハイレベルな外交」と、いくつかの問題において中国と共同ベンチャーを行う目的は「戦争の原因は米国の敵が作り出した。この場合は、中国が自己主張し、攻撃的であるから戦争が起きた」というプロパガンダを創作することにある。
このようなプロパガンダは、19世紀末に米国が帝国主義国になって以来、米国が軍事行動を開始する場合につねに利用されてきた。
事実、レポートでは、中国との和解の可能性ははっきりと除外されている。
「米国と中国の間に、基本的な信頼『平和的共存』『相互理解』、戦略的パートナーシップ『新しい形の大国間の関係』の可能性はない。」
国際労働者階級による社会主義的な反戦運動を発展させる必要があると強調されているが、これは、単に中国を好戦的な国家として印象付けるためである。
http://www.informationclearinghouse.info/article41748.htm
2015年5月4日
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