どのように祈るべきか1



あなたは、祈るときには自分の奥まった部屋にはいりなさい。そして、戸をしめて、隠れた所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます。
また、祈るとき、異邦人のように同じことばを、ただくり返してはいけません。彼らはことば数が多ければ聞かれると思っているのです。
だから、彼らのまねをしてはいけません。あなたがたの父なる神は、あなたがたがお願いする先に、あなたがたに必要なものを知っておられるからです。
だから、こう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。
御国が来ますように。みこころが天で行なわれるように地でも行なわれますように。
私たちの日ごとの糧をきょうもお与えください。
私たちの負いめをお赦しください。私たちも、私たちに負いめのある人たちを赦しました。
私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください。』[国と力と栄えは、とこしえにあなたのものだからです。アーメン。](マタイ6・9-13)

(1)
祈りとは、神に対するものであって、人に見せるためのものではない。

だから、人に見せる祈りをすると、その祈りは無効である。

祈るときには自分の奥まった部屋にはいりなさい。そして、戸をしめて、隠れた所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます。

祈りの「報い」を期待するならば、人に見られないように隠れたところで密かに祈れ。

当時の宗教指導者たちは、人に見られるために祈った。動機は「世間において高い評価を得ること」にあった。

われわれが、他人の目を気にして祈るならば、その祈りには報いはなく、かなえられることもない。

かといって、礼拝時に集団を代表して祈るときに、集まった人々を無視して個人的な祈りのようにとりとめのない祈りや長々とした祈りをすべきではない。社会的調和という意味において人の目を気にすべきである。

(2)

また、祈るとき、異邦人のように同じことばを、ただくり返してはいけません。彼らはことば数が多ければ聞かれると思っているのです。

ことば数と祈りの効果は無関係である。

ことば数が多ければ祈りが聞かれるとか、長い時間をかければ聞かれるとか、異教の発想である。

これは、呪術と同じであり、きわめて悪魔的である。

われわれは、神を動かすことはできない。

神に影響を与えることはできない。

われわれは、僕(しもべ)であって、主人ではない。

だから、いかなる手段をもってしても、神の手を動かすことは不可能である。

しかし、だからといって、熱心に求めることに効果がないわけではない。

熱心に祈る人々の祈りを神は聞いてくださる場合がある。

「〇〇時間祈ればどんな祈りでも聞かれます」というのは間違いだが、「御心ならば、われわれの熱心な祈りに神は答えてくださるかもしれない」ということは正しい。

常に「御心ならば」がつく。

われわれは僕であるから「主人の御心ならば、祈りを聞いていただける」という姿勢を保つようにすべきだ。

(3)

だから、彼らのまねをしてはいけません。

異教徒のまねをするな。

「南無妙法蓮華経を10000回唱えれば、△△の結果が得られる」というような思想を捨てるべきだ。

御心ならば、一回の祈りで答えられる。

御心でなければ、百万回祈っても聞かれない。

あくまでもわれわれの祈りは神とわれわれの主従契約の中で行われるものである。

呪術とは、「われわれが主であり、神は従者である」との倒錯の思想に基づいている。

あなたがたの父なる神は、あなたがたがお願いする先に、あなたがたに必要なものを知っておられるからです。

神は全知であられるから、神に情報を提供することは無意味である。

「神様はまだ知らないから、祈りのなかで報告しよう」などという考えは間違いである。

神はすべてを祈る前から知っておられる。

だから、われわれの祈りにおける情報は「自分が確認するためにある」。

神と自分との神聖かつ真摯な関係の中で、問題を取り上げることによって、問題を正しい位置に据え、確認することこそが祈りと願いの目的である。

日常の様々な出来事を祈りの中に持ち出さず、神と自分との間の関係の中でとらえないことによって、そこに「自律領域」が生まれる。

われわれは、神抜きで判断し、解決しようとする者である。

そこにおいて「神の主権」はどこかに行ってしまう。

祈りの中に問題を持ち出すことは、神の主権の中でそれを解決しようとする意思である。

自分と問題だけの2者の関係として問題を位置づけても解決はない。問題はさらに複雑になる。

常に神を主として問題を3者の中で解決するようにすべきである。

だから祈りとは情報提供ではなく、自分の問題の整理と確認のためなのである。

 

 

2012年9月21日



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