嘘をつくことはすべて罪か
(1)
嘘をつくことはすべて罪か。
ノーだ。
ラハブは敵に嘘をついて、イスラエルの斥候を逃がした。
聖書は、それを信仰の行為として称賛している。
倫理基準というものが神と独立して存在すると考える自然法思想では、「嘘はことごとく罪」ということになる。
しかし、この世界の倫理基準とは神ご自身である。
自然の上に神がおられ、その神が基準である。
だから、われわれの判断基準とは、「神にとって善か、神にとって悪か」である。
イスラエルの斥候の居場所を馬鹿正直に教えたならば、ラハブは、自然法的には善をおこなっただろうが、神の法的には悪をおこなった。
(2)
それでは、人の所有する物を、われわれが勝手に「神の利益のためです」といって、利用することは許されるのか。
ノーだ。
「聖地を奪回する」とかいって、十字軍が行った略奪行為を正当化することはできない。
なぜならば、私有財産権は、神が設定された掟だから。
われわれが所有権を拡大したり、政治的権力を拡大したいならば、「人々の同意を得なければならない」。
われわれが神の国を拡大する方法は、あくまでも「人々に好かれることによって影響力を拡大する」という方法である。
アメリカが戦後、その影響力を拡大できたのは、映画とか音楽が人々を惹きつけるものだったからだ。
しかし、ネオコンが政権を支配するようになって、「武力で世界を支配する」という荒っぽい方法を取るようになった。
アメリカの影響力は急激に縮小し、いまやアメリカは疫病神となった。
かわりに日本が影響力を拡大している。アニメなどを通じて。
「人々に気に入られる」ことは、永続的な力である。
「武力」は、一時的である。
本当に頭のよい人々は、武力で影響力を拡大できるなどと考えない。
2012年5月27日
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