増税は貧血の人間に献血を要求するに等しい


(1)
河村氏が減税をテーマに選挙を戦っている。

対抗馬は、「減税などしたら行政サービスが低下し、人々の生活のレベルは下がり、将来の世代に負担を強いることになる」という。

国鉄や電電公社の例を引くまでもなく、官僚は、サービス業には向いていない。

彼らは、「正義」のシステムで働く人々であって、「奉仕」のシステムでは機能しない人々だ。

日本の官僚は優秀だ。しかし、いくら優秀でも、向いていないことをやると失敗する。

増税とは、このようにサービスに向いていない人々に投資することなのだ。

民間の会社で、資金を何百兆円もつぎ込んで、それでも黒字にできない企業は、市場から捨てられるだろう。

同じお金があるならば、費用対効果が優れたところに投資したほうがいいに決まっている。

減税とは、民間に金を残すことを意味する。

減税とは、民間に投資することだ。

通信の自由化によって、格安の電話サービスが次々と現れた。

われわれは市場競争によって恩恵を受けてきた。

同じように、福祉の分野でもなんでも、民間ができることは民間にやらせる方向が一番いい。

(2)
競争はおちこぼれを作るなんて批判する人々がまだいる。

落ちこぼれたっていいじゃないか。

みんな挫折を経験して成長するのだ。

失敗は悪でもなんでもない。いや、むしろ失敗はいいことなのだ。

失敗を恐れて何もしないことのほうがもっとも恐ろしい。

失敗ばかりが続いても、努力を続けていれば必ず脱出の道は開ける。これは自分の体験から言えることだ。

自分の人生は、挫折の連続で、みっともないものに見えるかもしれないが、自分なりに努力を続けてきたのだから、恥じることはまったくない。

(3)
民間に資源をゆだねて不確かなことをやるよりも、国に任せて確実なことをやってもらったほうがいい、というのは幻想だ。

競争のない世界は、必ず腐敗し、堕落し、非効率化する。

日本の製品が世界で評価が高いのは、国内で熾烈な競争があるからだ。

本場イギリスで日本製のスコッチが人気だという。

日本製品に対する憧れは世界中に存在する。

知り合いのパキスタン人によると、砂漠の国では日本製じゃないと走らないという。他国の車は砂でだめになるからと。

競争のおかげで、われわれは今日の名誉を獲得した。

競合他社から常に挑戦を受けるなかで努力を強いられる環境こそが最善なのだ。

(4)
増税に走る政治家は無能である。

どんなに金を出しても失敗し、足りないと言い続ける組織に投資することを拒否する。

それより減税して、企業や家計に金を残すようにしてくれ。

「減税しても、内部留保がたまるだけだ」というか。

違う。

なぜ内部留保がたまるかというと、将来景気が回復するか不安だからだ。

将来に設備投資ができないのは、デフレが続くと考えているからだ。

日銀が手を打たないからお金の需給バランスが取れていない。

まさに、50兆円の政府紙幣を発行して、日銀券と交換できるようにしてほしい。

今、われわれは虚血状態なのだ。

増税は、貧血の人間に献血を要求するに等しい愚策だ。

 

 

2011年2月1日

 

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