中央銀行制度である以上金を刷って政府の借金を解決すべき


ななみのゆう氏の前掲書は、非常に興味深い情報を提供している。それに基づいて今理解していることをご紹介する。


(1)
子供の体が成長し、大人になると、それだけ血液も余計に必要になる。

しかし、造血細胞が子供用のままだったらどうだろうか。

貧血を起こすか、それ以前に栄養がいかないので大人の体格にならない。

そこで、大人になれるように、造血細胞は大人の血液の量を作るように拡大成長しなければならない。

さて、経済も同じだ。

国民の経済が成長してその規模が拡大しているのに、血液であるお金の量が足りないならば、デフレという貧血を起こすか、そもそも栄養がいきわたらないので成長できない。

今の日本は、造血細胞である日銀が日本経済の成長にみあった仕事をしないために貧血状態を起こしている。

そして、その貧血状態をマスコミが煽っている。

「1000兆円の大借金をどうする?」と。

しかし、造血細胞が血を作ることがどうして借金なのだろうか。

もちろん造血細胞が活動するには、外部から栄養を取りこまなければならない。

しかし、外部からの栄養は無尽蔵にある。

なぜならば、お札は紙だから。

紙とインク代でお札は刷れる。

いや、端末操作でお金はできる。

日銀のお金を供給する活動に支障はまったくない。

お金を作って流通させることを「借金」という名前をつけたのでわれわれは罪悪感を感じている。

違う。

造血細胞が血を作ることに罪悪感を感じるのが間違いなのと同じように、お金を作って流通させることに罪悪感を感じる必要はない。

(2)

人体で言えば政府は心臓だ。

造血細胞が血を作ってもそれを体中にいきわたらせるには、ポンプが必要である。

政府は公共事業で需要を作りだして、お金が回るように勢いをつける。

政府の借金1000兆円と言われているのは、ポンプが流した血液の量だ。

政府という心臓が1000兆円という虚血が起きても、体の他の部分にその1000兆円が回っているので、体全体が虚血が起きているわけではない。

だから日本国の破綻が起きるわけもない。

ただし問題がある。それは、銀行という一部の臓器にだけ血が滞留しているということだ。

まとめると、今の日本の貧血状態は、

1.血の絶対量が足りない。

2.血が一部に偏って集まっている。

ことによって起きている。

じゃあどうすればいいのか。

1.血の絶対量を増やすこと。

日銀に円を発行させること。

2.血が体中にまんべんなくいきわたるように、心臓のポンプ機能を強くすること。

つまり、公共事業で需要を作りだして血を回すこと。預金に課税して眠っているお金を市場に流すこと。

(3)

血のめぐりを悪くしているもう一つの原因がある。

それは、血管を細くする悪玉コレステロールである。

これが、社内留保したり、余剰のお金を海外に投資したり、株主の利益を偏重して労働者の給料を少なくしている経営者である。

また、過剰に将来の不安をあおって購買行動を抑制させるマスコミである。

悪玉コレステロールを除くには、運動をし、食生活を改め、体質を改善することである。

つまり、気づいたわれわれが声を上げて、経営者に日本の労働者に金を払えと訴えることだ。

労働者に金を払わないことが、全体として日本の国力を弱くし、ひいては自分の会社の存続を脅かすのだから、自分を救うことでもあると説得せよ。

マスコミは、海外の勢力が日本侵略のために乗っ取っているので、殺虫剤をまいて撃退することだ。

インターネットで知識を広める反売国マスコミ運動を展開することだ。

(4)

血液を作って、心臓によって送り出す活動をどんなにしても、外部に迷惑はかからない。

つまり、外部に借金はしない。

外部から輸血した場合は別だ。負債が生じる。

EU諸国などは、自国に造血機能がないので、輸血するしかない。

すると、虚血状態が起きると借金するしかなくなるので、負債が増える。

ギリシアやアイルランドが破綻したのは、造血機能を失った病的な体だったからだ。

(5)

心臓は血を送り出して虚血状態になっても、パイプがつながっており、また血が戻ってくるので、大丈夫。

それと同じように、国債を発行し、公共事業で金を使って借金が生れても、税収がアップすることと、それでも足りない場合には日銀にお金を刷らせるので大丈夫。

体の外部に迷惑をかけず、自分の体内で血液が十分に行きわたるようにする活動は健全なものであるから足りないものを補うのは「借金」と考えるべきではない。

ただし、あまりにも血液を作りすぎて充血するのもよくない。つまり、インフレになるのはよくないので、適度を維持することが肝心だ。

今の日銀は、充血を恐れすぎて、体を虚血状態に放置している。

われわれは足りない血液の量「国債発行残高1000兆円」を日銀にお金を刷らせることによって解決していい。

(6)

「え〜、そんなことしたら、じゃあ、個人も金が足りなくなったらお札を刷って解決してもいいということになるのでは?」という人がいるかもしれない。

家の中で「肩たたき券」をいくら発行してもいいでしょう。それと同じように、日銀が日本の内部でだけ通用するお金をいくら発行してもいい。

「円は外国貿易にも利用されるではないか」というかもしれないが、円を刷りすぎてインフレになれば、ものに対して金の価値が下がり、そのため、輸入ができにくくなる。

そうなると、原油など日本が生きていくうえで欠かすことができないものの入手が困難になるので、結局自分の首を絞めることになり、自然と調整されていく。

今の中央銀行制度においては、通貨の供給元が一つに限られているので、こういう解決しかないと思う。

中央銀行制度のもとでは、政府は絶対的に公共投資をしてお金を回らせなければならないのだ。

お金が商品貨幣であるならば、誰でも通貨を供給できる。

その場合は、通貨の量はモノの量とのバランスによって自然と決定される。

だから、強力なポンプも必要がない。

中央銀行制度を続けるならば、お金が欠けている場合は中央銀行が十分な量になるまでお金を作り続けるべきであり、政府は、需要を作りだすために公共投資を行うべきだ。

 

 

2012年12月30日



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