職業に関するいくつかの誤解3


4.
(1)
神の国の拡大を誤解する人は、「クリスチャンによる武力支配によって広がる」という。

まったく違う。神の国とは、「人を幸せにして広がる」のだ。

イエスは、罪の償いを引き受けて十字架にかかって死なれた。これが「人を幸せにする」究極の模範である。

命をかけて人を救うこと。

職業とは、人の必要に答えることによって成立する。人の必要に答える代わりにお金をもらう。それでイーブンである。

だから、神の国は、職業を通じて広がるのだ。

われわれが人の必要に答えるときに、神の国は拡大している。

「お金をもらってやることは、奉仕じゃないでしょう。だから、神の国とは関係ない」という考えは間違い。

イスラエルの祭司制度はすべて代償があった。

祭司は祭儀を行う代わりに人々のささげ物を受けた。

十分の一によってイスラエルの宗教システムは維持された。

「いや、イエスは代償を期待されなかった」というだろうか。

まったく違う。イエスは、われわれの命を救ってくださったが、代償として「全的服従を要求される」。クリスチャンは、洗礼を通じて神の契約の中に入った。契約にとどまるには、自分を「生ける供え物としてささげる」(ローマ12・1)必要がある。それができなければ、契約から追い出される。

だから、神の国とは、基本的に「奉仕と代償」のワンセットで成立している。「一方が、他方に無限の奉仕を行う」というのは、間違った思想である。

(2)
職業が発展し、よりよく人々に仕えることができるときに、神の国は発展する。

たとえば、原発のような危険なものではなく、クリーンなエネルギーを提供できればそれは「神の国の拡大」なのだ。

社会は思想を中心にして成長する。

法律は思想に基づいて決まる。他のすべての職業は、その思想を前提として成立する。

だから、思想がいい加減だと社会もそこで止まる。

キリスト教国において神学校と教会は中心である。

神学が崩壊すると、キリスト教国も崩壊する。

だから、サタンは神学をもっとも攻撃する。

異端を浸透させることができれば、その国家体制すべてを破壊できる。

それゆえ、神学を発展させることは、社会体制を維持する上でもっとも重要なのだ。

少し前に「神学論争などやめなさい」という言い方がはやった。

神学=無益な空論という考えがあるからだ。

まったく愚かとしかいいようがない。

物事の本質の本質は神学である。

問題をつきつめていくと、神学に行き着く。

地球を掘り下げていくと、核に行き着くのと同じ。

現代社会の神学とは、相対主義である。

普遍的な法を前提としない。「社会通念」ですべてが変化できる。

だから、時代が変化すると、善は悪になり、悪は善になる可能性がある。

こういうドロドロのものがわれわれの社会の中核にある。

だから、われわれは、公的にも私的にも液状化現象がおきやすい土地に暮らしている。

しっかりとした土台をすえる必要がある。

そうじゃないと、社会がばらばらになり、他国の侵略を受けたり、犯罪を抑止できなくなる。

職業は神の国の動力であるが、その職業を成立させている社会思想が腐っている。

思想や神学に無頓着な社会は崩壊する。

 

 

2011年5月6日

 

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