政府借金は悪か?
ななみのゆう氏の『お金を配れば日本復活−政府借金は雪だるまにならない』は非常に有益な本であり、目を開かせてくれる。
ほとんどの経済学者や記者が見逃している様々な事実に気づかせてくれる。
紙幣は、もともとヨーロッパにおいて、金の借用書として発行された。
金を預かる金細工人がその借用書を渡したのが起源である。
重たい金を運ぶよりも、紙を運ぶほうが楽なので、この借用書は広く流通した。
そのうち、借用書が金の代わりになり、商品と交換されるようになった。
金を預かる側、今では銀行から見れば、紙幣とはあくまでも借用書であり、借用書がいくら発行されても、手持ちにそれだけ金があるわけで、それを運用する権利があるわけだから、経営がおかしくなるはずはない。
そして、現在この借用書である紙幣は経済活動において欠かすことができない重要な要素なので、借用書を発行することは銀行にとって義務である。
それが足りなくなるとデフレが起き、経済が死んでいく。
つまり、現在銀行の大本である日銀は通貨を供給する義務があり、それを怠けるとデフレによって日本経済を破壊する。
日銀は、国債を引き受けるかわりに通貨を発行するから、国債はなくてはならないものである。
それゆえ、政府が借金をすることは、通貨を供給することと同じである。
政府が借金をしなければ、通貨は供給されないので、デフレが起きる。
だから、政府の借金とは、借金ではなく、「通貨供給」という重要な仕事なのだ。
国の経済を家庭の経済と同一視し、「借金はまずい」という論調は間違いだ。(*)
(*)
ただし、これは中央銀行制度を前提とした話である。
私は中央銀行制度が正しいとは思わない。
「現行制度において」、政府負債を罪悪視するのは間違いだといっているだけである。
中央銀行制度以外でどうなるかについてはさらに考察したい。
2013年5月19日
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