死刑廃止国の国民の大半が死刑制度復活を期待している
American Prospectのワシントン編集者Joshua Micah Marshallによると、70年代半ばに死刑を廃止したカナダは、国民の60%から70%が死刑制度の復活を望んでいる。アムネスティの本部があるイギリスも、調査において、国民の3分の2から4分の3が、死刑制度を希望していることが明らかになっている。これは合衆国と同じ水準である。
戦後死刑制度を廃止し、近年死刑反対運動を国際的に主導しているイタリアですら、国民の半数が死刑の再開を望んでいる。1981年に死刑が廃止されたフランスは、大多数の国民が死刑制度を支持している。
http://www.wesleylowe.com/cp.html#history
ヨーロッパ諸国の世論が、死刑制度の復活を支持している背景には近年の犯罪の増加という事情がある。
パリ、マドリッド、ストックホルム、アムステルダム、トロント、他の大都市において近年犯罪の発生率は記録的に上昇した。イギリス法務省(British Home Office)の2001年の調査によると、合衆国を除いてすべての裕福な国々において1990年代後半から暴力犯罪や窃盗が増加した。1990年代初頭から、合衆国の窃盗犯罪の発生率は、イギリス、カナダ、フランスのそれよりも低い。また、EU全体、オーストラリア、カナダの暴力犯罪率は、合衆国と同じかそれより高い。かつてコスモポリタン社会主義者の繁栄の象徴と言われたスウェーデンですら、犯罪被害率は合衆国よりも20%高い。
もう一つの要因は、ヨーロッパの統合が作り出した求心的圧力である。フランスやドイツなどのEUの中心的国々が彼らよりも小さな新規加盟国に対して、死刑制度廃止などの「ヨーロッパの」基準を採用するように圧力をかけている。換言すれば、新規加盟国は、EUに加盟する際に、政治的・経済的な脅迫に屈しているのだ。
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ヨーロッパの議会政府とアメリカの権力分離制度との違いも一因である。議会政府は、・・・政治の世界に新しく加わる人々や、異なる政治的な見解を支持する新しい考えに抵抗する。議会制度では、人々は、党に投票し、個人に投票しない傾向がある。党の委員会は、選挙の候補者を選出する。この結果、党は、人々の意志に影響を受けることが少なくなる。イギリスやフランスのような国々では、エリートたちの意見が一致している限り(死刑に関しては、一致している)、大衆の意見は立法活動に反映され得ない。アメリカの候補者のほとんどは、独立して活動しているので、大衆の意見と実際の政治的活動の間を直接的に結びつけることが可能である。
1997年の意識調査において、スウェーデン人の49%が死刑制度の復活を望んでいることが示されると、同国の法務大臣は、リポーターにこう伝えた。
「国民は、実際のところ死刑制度など望んではいないのです。彼らはただ暴力の増加に反対しているだけです。私は、これを、政治家や法制度にもっと仕事をしろとハッパをかけていると解釈しています」と。
2010年12月29日
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