キリストは旧約聖書を成就した



わたしが来たのは律法や預言者を廃棄するためだと思ってはなりません。廃棄するためにではなく、成就するために来たのです。
まことに、あなたがたに告げます。天地が滅びうせない限り、律法の中の一点一画でも決してすたれることはありません。全部が成就されます。
だから、戒めのうち最も小さいものの一つでも、これを破ったり、また破るように人に教えたりする者は、天の御国で、最も小さい者と呼ばれます。しかし、それを守り、また守るように教える者は、天の御国で、偉大な者と呼ばれます。(マタイ5・17-19)

ここで「律法や預言者」とは旧約聖書のことである。

キリストが来られたのは、旧約聖書を成就するためであった。

だから、旧約聖書の中でまだ成就していない預言がある、というプレ・ミレの学説は間違いだ。

エゼキエル書38章の、ゴグ・マゴグ、プテ、クシュなどの連合軍が、再建されたイスラエルに対して攻撃をするという解釈は間違いだ。

エゼキエル書は、初臨のキリストにおいて成就されたのだ。

「えっ?では、イザヤの千年王国預言も成就されたのですか。盲人の目が開いて恒久平和が実現するという預言も成就されたのですか。」と尋ねる人がいるかもしれない。

成就されたのだ。

イエス・キリストは、奇跡の力によって、盲人の目を開けられた(マタイ9章)。

「恒久平和はどうですか。イザヤ書2章4節『主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない』、さらに、ミカ書4章3節に『主は多くの国々の民の間をさばき、遠く離れた強い国々に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない』との予言があります。これはもうキリストにおいて成就したのですか」と。

そうだ。

「しかし、現実の世界では、平和どころか、今に至るまで戦争は続いているではないですか」と尋ねるだろう。

たしかに。

しかし、聖書のどこにもメシアの時代(千年王国時代)がやってきたら、瞬時にすべてが平和に変わるとは書いていない。

むしろ、聖書の原則は、「法的勝利に基づく漸進的な勝利」である。

まずイスラエルによるカナン征服において、神は法的所有権の移転を宣言された。

「わたしは、カナンの地、すなわち彼らがとどまった在住の地を彼らに与えるという契約を彼らに立てた」(出エジプト記6・4)

そして、その実際の占領は、漸進的であった。

「しかし、わたしは彼らを一年のうちに、あなたの前から追い払うのではない。土地が荒れ果て、野の獣が増して、あなたを害することのないためである」(出エジプト記23・29)

プレ・ミレのように再臨のキリストがUFOのようなものに乗ってやってきて、エルサレムの再建された神殿の中に立って、そこから全世界を支配し、あらゆる反抗は抑え込まれると唱える教えは、「突然の勝利」である。

契約の民の戦いは、このような「デウス・エクス・マキーナ」(つまりウルトラマンなどの超越的ヒーロー)による勝利ではなく、地道に着実に実力をつけていき、周囲の人々の同意を得ながら徐々に勝利していく方法である。

イエス・キリストは、まず法的に世界がキリストのものであることを宣言された。

イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。「わたしには天においても、地においても、いっさいの権威が与えられています。(マタイ28・18)

そして、実際の支配は、弟子たちによる「バプテスマと教育」による。

それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい。…(28・19-20)

法的支配は瞬時に、実際的支配は漸進的に。

紀元70年にイエス・キリストは、天の王座に正式につかれ、世界の王となられた。

それ以来、世界はキリストの御国であり、戦争はないはずである。

しかし、世界の変化は漸進的に進むので、原理的に存在しないはずの戦争が存在する。

クリスチャンは、戦争をなくするために戦う。

それは長い戦いである。

クリスチャンが弱くなると、悪魔が強くなって、世界に戦争が増える。

クリスチャンが強くなり、悪魔を征服する度合いが強くなればなるほど戦争の数は減る。

なぜ19世紀から20世紀にかけて、未曾有の戦争と革命によって世界は荒廃したのだろうか。

クリスチャンが弱くなったからだ。

正統派の信仰がカント・ヘーゲル教に打ち負かされた。

進化論を信じ、創世記の記述への疑いが生じて、根底からクリスチャンの信仰が破壊された。

そのため、弱くなったところに、サタンが付け入った。

しかし、これも世界の発展のためである。

世界が神の国に近づくための試練である。

神はあえてサタンが働くことを許されたのである。

人類に「人間だけでやっていくとどうなるか」を示すために。

旧約聖書はキリストによって成就した。

「戦争がなくなる」という預言すらも成就した。

キリストにおいて、すでにサタンは敗北しており、滅んでいる。

しかし、それは法的にである。

法的にサタンは敗戦が決定した国の大将である。

世界は、敗残兵がゲリラ戦をしている状況である。

われわれは、掃討作戦によって、その敗残兵を一人残らず殲滅するために戦う。

体が病原菌との戦いでバランスを保っているように、今の世界も、クリスチャン対悪霊の戦いでバランスを保っている。

歴史が続く限り、この戦いも続く。

 

 

2012年10月28日



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