日下公人氏らのキリスト教や西洋文明批判、盲目的愛国は、健全な保守運動を阻害している。
日下氏は、「キリスト教は労働を神の刑罰として見るから働くことを厭う」と述べておられるが、まったくの間違い。
カルヴァン主義、そして、ピューリタン主義をはじめプロテスタント主義は、労働を神からの聖なる義務と見る。
なぜならば、聖書において、労働は、堕落と刑罰以前にすでに与えられていたから。
神である主は人を取り、エデンの園に置き、そこを耕させ、またそこを守らせた。(創世記2・15)
「地を従えよ」との命令は、労働を通じて実現する。
だから、この文化命令を真摯に受け取ったカルヴァン主義者が、労働にいそしみ、資本主義を作り上げ、西洋文明に他のいかなる文明をもはるかに凌ぐ高い生産性と競争力を与えたのだ。
近代日本は、この西洋文明の成果から学んで近代的な政治制度や経済制度を作り上げたのであって、独自に編み出したもののほうが少ない。
日本人保守主義者は、無知のゆえに傲慢になってはならない。
正しく学び、正しく評価し、盲目的愛国心に陥ることなく冷静に歴史と事実を見るべきだ。
西洋やキリスト教に対して傲慢になると、また手痛い失敗を繰り返すことになる。
保守運動は、偏狭なショービニズムから離れ、変人の集団の扱いから離れて、まともな知的グループになるには、歴史の正しい知識と評価が不可欠だ。