ジョン・コールマン博士の警告に耳を傾けるべきだ
ジョン・コールマン博士の次の指摘はまさに的を射ている。
専門家の分析では、アメリカのキリスト教原理主義からの(シオニストイスラエルに対する)支持が揺らぐ事はないという事だ。理由は、彼らは指導者から、キリストが地上に再臨するまでに「イスラエルが完全なものになる」ことが必要だと教えられているからだ。
正統派ユダヤ教徒はアラブ人及びパレスチナ人の土地を不当に奪う事に全面的に反対しているのだが、フォールウェル、ロバートソン、リンゼイ、クロウチ、ヴァンインプ、ハンバートといった、キリスト教原理主義の指導者は、それには全く目もくれない。ネトゥレイ・カルタのような正統派ユダヤ教徒組織はシャロンを厳しく攻撃し、現代のイスラエル国家はユダヤの災厄だと明確に表明しているのに、まるで、正統派ユダヤ教徒など全く存在していないかのようだ。
パレスチナのキリスト教徒も現在の状況には激しく反対しているのだが、そちらにも全く注意は向けられていない。
シャロンとペギンの二人はキリスト教原理主義者の希望と信仰を利用しようと研究を重ね、英国国教会(=フリーメイソンのフロント組織)のジョン・ネルソン・ダービー{イギリスの宗教家『ダービー訳聖書』で著名、信仰革新運動を展開し、アメリカのキリスト教原理主義の原典となった}の教えに力を注いだ。ダービーがアメリカで教えたものは「神の摂理としてのプレ・ミレニアム思想」というある種のグノーシス思想と言えるものだった。その内容は、紀元70年に崩壊したイスラエルは、現代に蘇ることで、ふたたび、かって聖書に記されたような重要な地位に就き、それがキリスト再臨と新たな千年王国到来の印になる、というものだった。
ー 中略 −
ダービーの“宗教”はイスラエルを支援して、最終的にかつての地位を再現することが出来れば、それがメギドの平野での最後の戦いへと繋がるというものだ。
最後の戦いとはつまり「アルマゲドン」のことで、その戦いには世界の主要大国の全てが参加する。そのあとは、壊滅的な飢饉と疫病に襲われるが、キリスト教徒はそれを「終わりの時の印」として、そして間違いなくキリストの再臨が近いことの印として歓迎すべきである、というのである。
しかし、献身的なキリスト教徒は、この苦難の時を恐れる必要はない。あらゆる民族を襲う恐るべき出来事もかれらには訪れない。なぜなら彼らは「恍惚として」[rapturedは「携挙され」と訳すべき―富井]救い上げられて、イエス・キリストに出会うからである。――― キリスト教原理主義者の信仰を要約すればこのようになるのだが、この信仰を集中的に研究したシャロンとその支援者たちは、「イスラエルの子」と装ってキリスト教原理主義者を操れば、容易に西岸地区とガザ地区の占領への支持が得られることに気がついた。
だが実際のシオニスト、特にパレスチナの指導者たちは、ほぼ全員が無神論者だ。それは正統派ユダヤ教徒、特にネトゥレイ・カルタのラビたちが繰り返し強調している通りである。 正統派ユダヤ教徒の精神的指導者であるラビ、ブラウが教えるように救世主が再臨するまではイスラエルの国を建設する事はできない。したがってシャロンやシオニスト指導者がしていることはトーラーの教えに全く反している。
− 中略 −
聖書学や聖書歴史学で評価を受けている権威者で、1948年の現代国家イスラエル建国が聖書の予言の実現であると言うキリスト教原理主義者の主張を支持する者はまず一人もいない。しかし問題はリンゼイ、フォールウェル、ロバートソンなどを信じる4300万人のキリスト教原理主義者が、それを知らないということだ。だから彼らは簡単に操られ、途方もない政治圧力団体になっていく。議会で少しでも、イスラエルに批判的な法案が審議されようものなら、彼らは躊躇なく殺到して来る。ぺギンがアメリカユダヤ以上に価値があると言うのもうなづける話だ。
「石油の戦争とパレスチナの闇」(成甲書房)
http://www.amadeo.jp/sionisuto.html
2014年11月5日
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