300mSv/hの放射線照射で発がん抑制効果は最高になる(再掲)


まだ放射線の恐怖に縛られている人がいるので、再掲します。

この問題は、あくまでも科学的に処理すべきです。


一般社団法人ホルミシス臨床研究会理事で工学博士/元電力中央研究所名誉特別顧問の服部禎男氏が、チャンネル桜の番組に出演。細胞に対する放射線の影響に関する非常に興味深い情報を提供されたのでご紹介する。

ミズーリ大学名誉教授(生命科学)トーマス・D・ラッキー博士が、1982年12月、「放射線ホルミシス」を世界で最初に発表(Health Physics誌)。

「自然放射線の100倍から1万倍までの線量の放射線を受けるのは、生体の活性化を生じ、有益な効果をもたらす」と述べた。

自然放射線が年間1mSvなので、生体にとって最適なのは年間100mSvであり、許容レベルは1Sv、最大でも10Svということになる。

服部禎男氏が、この論文について米国電力研究所理事長フロイド・カラー氏にその主張の当否について質問したところ、エネルギー省と米国電力研究所の共催により、世界ではじめての放射線ホルミシスに関する専門家会議が開催された(カリフォルニア大学オークランド校)。

この会議の結論は「ラッキー博士の主張は科学的に誤りではないが、小動物のデータが多いので哺乳類動物などによる実験的検証・研究が必要」であった。

1988年、日本でも検証開始。

奈良医大の大西教授による、ガン抑制遺伝子p53の活性検査によると、100mSvから500mSvの放射線を当てた結果、放射線を当てることによってp53が活性化することが判明。

また、電中研の山岡氏による「X線全身照射による大ネズミ大脳皮質細胞の変化」の研究では、放射線を照射することによって、細胞膜透過性が飛躍的に高まることが判明。

透過性が高まることにより、DNAのシグナルが通りやすくなり、細胞の若返りが進む。

その他の研究により、放射線を当てることにより、インシュリン、ベータエンドルフィン、アドレナリン、メチオ・エンケファリンの分泌が高まることが分かった。

この日本の研究に刺激され、ワシントンに移住した放射線分子生物学第一人者ドイツのルードヴィヒ・ファイネンデーゲン博士とカリフォルニア大学バークレイ校医学部全体を監督していたマイロン・ポリコーブ博士が手を組み大論文を1996年に発表。

そこで活性酸素のDNAアタックは自然放射線の1000万倍であり、人の細胞で、DNA修復は細胞あたり1日に100万件行われていると述べた。

この論文を持って、アメリカ科学アカデミー、フランス医科学アカデミー、WHO本部、IAEA本部を訪問、大きな騒ぎとなった。

なぜならば、その際に、次のような驚くべき事実を暴露したからだ。

「ICRPの基準作成の基礎となったのが、1927年マラーの研究である。

この実験でショウジョウバエにX線を照射し、2代目や3代目に奇形や短命が発生し、照射線量に比例して害が発生したと報告され、『放射線は少しでも有害、安全限界などない』と考えられるようになった。

しかし、ショウジョウバエの精子の細胞は、活動(生殖)期になるとDNA損傷の修復機能がなくなる特殊な性質を持つ。

そのため、修復機能を持つ他の細胞に適用することはできない。」

そこで、科学者とICRPが集まって放射線の危険性に関して議論することになった。

これが、1997年のセビリア会議である。

ICRPは、広島・長崎の極端な事例のデータだけを取り上げ、放射線からの防護を主張した。

これに対して、科学者側は、「低レベルの放射線は線量率で考えなければならない。自然放射線の何億倍もの放射線を数秒で浴びる原爆のような事例を一般に適用するのは間違い。また、自己修復機能を持つ生命体に対する放射線の影響と単なる物体に対する影響とを混同してはならない」と主張した。

この会議を受けて、

(1)翌年1998年、フランス医科学アカデミー・モーリス・チュビアーナ博士が、EUの細胞学者に呼びかけ、人体細胞でDNA修復の限界追究を開始。

その結果が、次のダブリン宣言(2001年)にまとめられた。

「DNA修復機能はあまりにも優れていて、その限界は見つけられなかった。しかし、とりあえず自然放射線の10万倍以下、毎時10ミリシーベルト以下なら、細胞はパーフェクトで、発がんはない」。

この研究に対して世界の科学者たちは、マリー・キュリー賞を与えた。

2007年受賞記念講演がポルトガル・リスボンで行われた。

(2)1999年、政治と科学の橋を架けるためにワレントン会議が開かれた。座長はIAEA事務局長ハンス・ブリックス博士で、ICRPクラーク委員長も参加した。100名以上の専門家が議論した結果、「遠すぎて橋は架けられない」との結果しか出なかった。つまり、科学的研究の成果と、それまでの放射線基準とがあまりにもかけ離れていて、いまさら謝罪して、間違えましたなどと誰が言えるのかと。

セビリア会議を受けて、アメリカの科学アカデミーが立ち上がった。

世界最高の専門家マイケル・M・ヴィレンチク博士とアルフレッド・G・クヌドソン博士が、2000年、2003年、2006年の米国科学アカデミー報告において、次の研究成果を発表。

1.ネズミの精原細胞に放射線を当てたところ、自然放射線の60万倍〜600万倍(60mSv/h〜600mSv/h)の線量率でDNAの修復機能が最高(エラーなし)になると判明した。

2.平均、300mSv/hあたりに共鳴領域があり、次の効果がある。

(1)損傷頻度の高いがん抑制遺伝子p53の活動も最高に維持される。
(2)アポトーシスによる異常細胞除去、つまり発がん抑制は300mSv/hが最高。
(3)もっとも優れた修復応答は、日常的に活性酸素でアタックされているのと同じ程度の発生率で二重鎖切断が生じる場合。

フランス医科学アカデミー・モーリス・チュビアーナ博士と、米国エネルギー省ルードヴィヒ・ファイネンデーゲン博士は、他の2人(中国人とロシア人)との連名で、Radiology誌(2009年4月)に発表した論文において、次のように述べた。

・直線仮説(Linear No-Threshold relationship)は、放射線生物学実験データに合わない。

・低い線量率(300mSv/h〜600mSv/h)程度では、DNA修復システムが非常に効果的。

・これ以上の線量率、たとえば1時間に30シーベルト以上になると修復機能は無理で、細胞死や異常細胞増殖の阻止、つまりアポトーシスや免疫系の細胞除去システムで防衛される。

そして、次の警告を発した。

1.半世紀前の放射線防護にLNTは便利なモデルであった。

2.しかし、現在の放射線防護は現在の科学的成果に基づくものでなければならない。

3.半世紀に及ぶLNTによる古い防護概念が、医学、経済、政治社会に重大な被害をもたらしている。
http://www.youtube.com/watch?v=cBzmGpaPCYc&feature=relmfu

どうしてこれだけ科学的にしっかりした研究が行われてきた事実をTVは報道しないのだろうか。

不思議でならない。

具体的な研究史に基づく放射線生物学に関する科学的知識を紹介された服部氏の情報は、日本人の放射能に対するアレルギーを払拭してくれる。

そして、福島の原発事故による放射能が、本当に取るに足りないものであり、かえって人体に有益であるということがわかる。

 

 

2015年2月21日



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