キリスト教を健全に維持するにはヴァン・ティルの弁証論に立つしかない2
第二に、彼ら[つまり、証拠主義者たち]の信じるところによれば、人間はある種の倫理基準を自らの性質から推論することができ、道徳的行動の普遍的な基準を前提とする人類学的プロジェクトを提案することができる。
最後に、証拠主義者たちは、不確かなニュートン主義的科学的方法論を通じて、知的及び人類学的なプロジェクトを進展させた。
ノルによれば、このプロジェクトは「福音主義者たちに以下のことを信じるように励ました。
すなわち『神学の最終的な成果とは、単純な事実から帰納法的な方法によって慎重に得られる真理の体系である。この体系は、空想の仮想的な逃避を避け、神と神の道の普遍かつ不変的なイメージを示す』と」。(同上)
ヴァン・ティルは、米国のプロテスタント主義において数百年の歴史を持つこの伝統を捨て、自らが「正しいカルヴァン主義認識論(つまり、知識に関する理論)の回復」であるとみなす教えを提供した。
オランダ系移民であったヴァン・ティルは、オランダ改革派の伝統の影響のもとにあった。
とくに、19世紀のオランダの神学者であり政治家であったアブラハム・カイパーの教えを採用した。
合衆国において、カイパーは、新カルヴァン主義の父として記憶されている。
新カルヴァン主義とは、神学的・社会的な運動であり、その信奉者たちは、カルヴァン主義を、啓蒙主義や現代神学の社会的・文化的・政治的な進展に抵抗することができる「包括的かつ首尾一貫したキリスト教の世界観」と考えていた。
ヴァン・ティルの伝記作家によれば、カイパーは、キリスト教の世界観と、フランス革命において人々に知られるようになった近現代の世界観との間に絶対的な分離がある、すなわち両者は互いに「アンチテーゼ」である、と主張した。
カイパーは、カルヴァン主義者たちに「社会問題へのクリスチャン的なアプローチと、ノンクリスチャンまたは『背神的な』思想に裏付けられたアプローチの間に」明確な線引きをせよと述べた。
カイパーによれば、クリスチャンだけが自覚的(self-conscious)でありえる。
事実、ノンクリスチャンは、自らの非キリスト教的な方法で首尾一貫して思考することはできない。
なぜならば、そのようにすれば、最終的には、すべてが徹底して無意味になってしまうからである。
それゆえ、ノンクリスチャンにとって、あらゆる意味や知識は、王なるイエスについての漠然とした理解からの「借り物」でしかない。(同上)
2017年5月26日
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