光を与える聖霊がなければ世界は見えてこない


私の父(大正18年生)は、非常にまじめな人であった。

大学時代、陸軍士官学校の同窓生と会ったことがあるが、「君のお父さんは真面目だから、君も真面目なんだろうなあ」と言われた。

10代に厳しい訓練を受けたので、いつも背筋を伸ばしていた。

私のもとの教会の主任牧師(昭和元年生)も、陸軍経理学校出身者で、同じようにいつも背筋を伸ばしていた。

私は、大学時代ロックをやって長髪にし、しかも学生運動の影響を受けていたし、多趣味でもあったので、父親の叔母さんに「あの敏夫からどうしてこんな子が生まれたのか」と言われた。

私は、自分では厳しい訓練を受けた父親がうらやましかったが、今では、あの乱雑な時代に青春時代を送ったことに意味があったと考えている。

父親の時代の人は、近代を疑わない傾向がある。

近代世界の価値観で生きていても問題がなかったからである。

まだイルミナティが本性をはっきりと表す以前だったから、だいたいの日本人と同様に、その世界観を疑わなかった。

政治や教育について私が述べると「素人の言うことは聞かない」と拒否された。

私が文化には優劣があると述べると、主任牧師は「学界では、文化に優劣はないということになっているんですよ」と言った。

学問の世界が啓蒙主義、イルミナティに汚染されていることを知らない。

私は、ビートルズからニューロックへの移行期に中学時代を送ったので、世界が徐々に悪魔化されるのを肌で感じていた。

強いられたものであったが、ソ連に1年間滞在できたのも、近代を考える上で役に立った。

日本人が、欧米の近代思想の土台の上に築かれた近代文明を疑わない時代が過ぎ去ろうとしている。

残念なことに、キリスト教を知らない日本人は、キリスト教を近代に含め、イルミナティの世界進出をキリスト教がやったと誤解している。

ロスチャイルドの東インド会社は、キリスト教の宣教師を養成したのだ。

それまで純粋に福音のために活動していた宣教団体の中に、サタンが偽宣教師をばらまいた。

そして、中国の奥地にまで宣教師を送り込んで、開拓し、植民地支配の道具にした。

幸い日本の国家体制を築くのに大きく貢献したフルベッキは、そのような宣教師ではなかった。

彼は、イエズス会を非難していた。

しかし、日本人には、このような区別がつきにくい。

よほど勉強しないと、全部同じに見える。

近代とは、人間教の時代である。

人間を神とする時代である。

しかし、実際にこのヒューマニズムを作り出したのはサタンである。

サタンは「あなたは宇宙の主人になれますよ」と誘惑して、結局は、自分を礼拝させるのである。

自由になれると思って、気づいたらサタンの奴隷である。

今、世界がサタンの傀儡によって重税を課せられ、全部吸い取られ、財産を失い、自由を失いつつあるのは、「神から自由になれる」と誘惑したサタンの言葉に乗ったためだ。

自由になれると思って得たものは、共産主義国における1億人の粛清だった。

この悪魔体制は、資本主義国ではまだ確立されていなかったが、最近、アメリカも日本もどんどんとイルミナティの支配が及んでいる。

宗教改革、とくにカルヴァン主義による解放の恩恵を受けてきた西側が、積極的にそれを捨てているので、自爆しているのだ。

近代をしっかりと理解し、どのようになっているのか調べないと、よいものまで否定し、かえって敵を利することになる。

最近の日本の知識人たちが、アメリカからの解放を唱えているのはよいとしても、欧米キリスト教文明を否定する傾向にあるのは、歴史を精査していないからである。

深く考えていないから。

コメンテーターの勝谷氏は、非常に頭がよく、教養もある人だと思うが、ユーチューブの動画で「プロテスタンティズムの職業倫理から解放されよう」と言ってたのを見て、「味噌も糞も一緒にしているなあ」と思った。

私はウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』には賛同しかねる点があると思うが、しかし、カルヴァン主義が職業倫理を高めたのは間違いないと考えている。

宗教改革が世界に及ぼした巨大な肯定的な影響を無視してどうなるのだろうか。

日本文明は、宗教改革の影響をまるで受けてこなかったのか。

欧米文明の全否定は、保守運動をトンデモに変えてしまう。

欧米文明、近代の中にある光と影の部分を峻別できない限り、日本人は、世界から「自己愛で周りが見えなくなっている」と思われるしかない。

まずクリスチャンになろう。

そうすれば、座標軸が与えられる。

神とサタンの戦いという聖書的な基本構造が見えてくる。

それから、知識を身に着けて、具体的に個別の問題について良いものと悪いものを区別できるようになる。

光を与える聖霊がなければ、世界は見えてこないのである。

 

 

2014年11月22日



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