退化をもって進化の証拠にはできない
パンダの草食化やモグラの目の退化をもって進化を主張する人々がいるが、退化と進化はまったく違う。
退化は、既存のものの中に新しい環境に適応できる遺伝子が含まれていれば、環境変動により、その遺伝子が形質として発現する可能性が高まる。
つまり、もともと草食や盲目の遺伝子があって、環境がそれに適したものであれば、その遺伝子の所有者が生存する確率が高くなるので、その形質が残る。
しかし、進化は、それまでに存在しなかった機能が「追加」される。その場合、形質を支配する遺伝子の突然変異だけではなく、中枢の遺伝子の突然変異も期待しなくてはならないので、その形質の所有者が子孫を残す可能性はゼロに限りなく近い。
進化を偶然の変異に依存することは愚かである。チャールズ・ユージン・ガイ博士が、原子がランダムに集まって、最少の原子(炭素、水素、窒素、酸素)からなるたんぱく質分子1個を作る確率を計算した。注意していただきたいのは、博士は、92元素全部の成立や生命の誕生の確率についてではなく、「単一のたんぱく質分子」の成立についてだけ計算したのである。
その結果、偶然の作用によって、たんぱく質分子1個が生まれるのに必要な原子の集合は、その中心から出発した光が10の82乗年かかってやっと表面にたどりつくほど巨大な球体になったという。しかし、現在の推定では、宇宙の大きさは、半径10の9乗光年である。
地球の大きさの天体において、偶然にたんぱく質分子1個ができることを期待すると、10の243乗年かかるという。地球の年齢は、10の9乗年といわれているので、生物の進化の動因を偶然に求めることがいかに愚かかがわかる(Lecomte du Nouy, Human Destiny (New York: Longmans, Green, 1947), p. 34; cited ibid., p. 375.)。
2018年4月15日
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