人がいなければ日本はものすごくきれいな島だ(宮崎駿)
スタジオジブリ
2013年07月26日 09:33
僕が日本を見直したのは、
30代になってから
「おまえは強盗だったんだよ」ということですから。満州に行った知人たちが、どういうことをやって、
どういう風に威張りくさってたかという話もおふくろから随分聞きました。
そういう話を聞く度に、本当に日本人はダメだと思いました。
そんなことで、大人になってからも、日本の歌は唄いたくなかったんです。
それで「祖国の灯のために戦わん」とかのロシア民謡を唄いながら「そういう祖国があればいいのにな」と思っていました。
じゃあ、ロシアがいいのかといえば、そうも思っていなかったんですが、僕はあまりにも自分の中に何もないので、
「自分よりも大切なものが何かあるんじゃないか」と思っていたんです。
僕が日本を見直したのは、30代になって初めてヨーロッパへ行って帰って来た時です。
ヨーロッパといっても、ほんの一部、スウェーデンをうろうろしただけですけれど、
帰って来てみると、自分がどれだけこの島の植物や自然が好きかということがよくわかったんです。
人がいなければ日本はものすごくきれいな島だと思った。日本の国や日の丸が好きになったのではなく、
日本の風土というのは素晴らしいものだという認識を持つようになりました。
貧乏であるとか、ゆとりがあるとかというのとは関係なしに、豊かな環境の中にいると思いました。
明治神宮にすごい森があって、それが人間の作った森だということなどがわかってきた。
そんな土地の力を持っている島にいるんだということが、実に緩やかに少しずつわかってきたんです。
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2016年3月21日
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