カート・アランド博士は聖書信仰を否定していた
リフォーメーション国際神学校のA・ヘムブド・マクスが、論文『本文批評家カート・アランド博士の神学的見解』において、カート・アランド博士が「聖書が神の霊感によって書かれた」という言語十全霊感説を否定する異端であったと暴露した。
博士は、自身が編纂したギリシャ語テキストであるネストレ・アランドやUBSを通じて世界のクリスチャンに多大な影響を与えてきた。以下要約:
ネストレ・アランドで有名なカート・アランドは、20世紀のドイツの本文批評家である。
英語訳新約聖書のもっとも有名な現代訳であるRSV、NASB、NIV、ESVは、すべてアランド博士が編集長を務めたギリシャ語聖書(United Bible Societies version of the Greek New Testament:略してUBS)からの翻訳である。
UBSの第3版(1983年)は、ネストレ・アランドのテキストの第23版とほぼ同一であり、UBSに対するアランド博士の影響の大きさを物語っている。
ネストレ・アランド第26版とUBSの1966年版と1983年版は、Textus Receptus(公認本文)と大きく異なっている。
(Textus Receptusは、ローマ・カトリックによる毀損の影響を逃れ、東方教会で残り、歴史上ほとんどのクリスチャンが使用してきたマジョリティ・テキストから作成されたギリシャ語テキストである。―tomi)
現在、NIVとESVは、米国とイギリスの福音派の教会において圧倒的に使用されている翻訳聖書であり、彼らが世界の福音派のキリスト教をリードしている以上、世界の福音派のクリスチャンたちの霊性は、アランド博士の神学的見解によって大きく影響を受けているといっても過言ではない。
しかし、牧師も含めて、カート・アランド博士の名前を知る人々はほとんどいない。知っていても、神学生時代に、(ウェストミンスター神学校ですらも)購入を義務付けられているネストレ・アランドテキストのギリシャ語聖書でおぼろげながら知っているくらいである。
少し詳しく触れられているとしても、あくまでも本文学者としての輝かしい業績を紹介されるばかりで、彼の神学や、聖書の無誤無謬性に関する見解について知っている牧師はほとんどいない。
聖書の霊感に関するアランド博士の見解は、彼が1961年。1962年、1985年に著した本から読み取ることができる。
1960年代に記された初期の2冊について述べる。
The Problem of Anonymity and Pseudonymity in Christian Literature of the First Two Centuries (1961)(紀元1〜2世紀のキリスト教文献における匿名性と偽名性の問題)において、アランド博士は、四福音書、公同書簡(パウロ書簡以外の書簡)、牧会書簡(パウロ書簡のうちテモテへの手紙第1と第2、テトスへの手紙の3つの書簡)、ヘブル書が使徒によって記されたことを否定した。
The Problem of the New Testament Canon (1962)(新約聖書正典の問題)では、新約聖書のいくつかの巻(第2ペテロ、ヤコブ、第1及び第2ヨハネ、ユダ)の正典性に疑問を呈している。
アランド博士は、後年、これらの著作を生涯にわたって否定しないどころか、かえって確認すらしている。公同書簡に関する高等批評においてこれらの書簡をさげすみ、正典性を断固否定した。
聖書のある巻に関する真作性と正典性に疑問を呈する彼を、どうして聖書の無誤無謬を信じていると判断できるだろうか。無誤無謬性の否定は、聖書の言語十全霊感の否定を意味する。...
http://www.tbsbibles.org/pdf_information/127-1.pdf
2017年2月14日
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