キリスト教を健全に維持するにはヴァン・ティルの弁証論に立つしかない4
多くの保守的な改革派の人々よりも、認識論に直接的にかかわることによって、ヴァン・ティルは、現代思想の「関心の対象が主に認識論に向けられている」という事実に気付いた。このことから、ヴァン・ティルは、クリスチャンにとって、認識論が非キリスト教思想とどのように異なるのかについて細心の注意を払いつつ説明する必要があるだろうと考えた。これは、カント思想の妥当な側面に注意を向けるきっかけとなった。カイパーの対立概念を拡充するにはカント思想を扱う必要があると判断したのだ。ヴァン・ティルは、オランダ改革カルヴァン主義の対立概念を採用かつ発展させることによって、聖書の権威ある規則を知識の先験的な基礎として受け入れないすべての思考体系に宣戦布告した。 20世紀初頭の、ファンダメンタリズム対モダニズムの論争の文脈において、ヴァン・ティルは、その思想のゆえにファンダメンタリストの陣営でもっとも急進的な思想家の一人になった。彼は「伝統的なコモンセンス経験主義は、神との関係において人間の知性の自律を前提としている」と主張した。この前提は、カルヴァン主義者が唱えてきた、思考を含む人間のあらゆる側面に対する神の絶対主権への強調を破壊した。この点を踏まえ、ヴァン・ティルは「人間が神から独立して思考することは一切できない」と主張した。(同上)
ただ逆らうことだけを求める悪人には、残忍な使者が送られる。 (箴言17・11)
2017年8月16日
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