世界の未来はわれわれにかかっている
(1)
昔から「要領がいい人」が嫌いだった。
よく論文などの制作が得意だが、内容的には斬新さがなく、興味を引くようなものを書かない学者がいるものだ。
こういう人は、とんとん拍子に出世する。
なぜならば彼にとって重要なこととは、「いかに世の中で成功するか」にあるから。
彼は人間関係を円滑にするのが得意だ。
いつもニコニコしている。
めったに人に悪い印象を持たれない。
私はこういうレベルの成功には興味がない。
私は、根源の根源まで問題を探ることにのみ関心がある。
「周囲がこう考えるから」とか「こう教えられてきたから」とかどうでもいい。
もちろん、これまで積み上げられてきた業績や技術を謙虚に学ぶことは重要だと思っている。
むやみに過去の文化的遺産を切り捨てない。
しかし、あまり大した理由もないのに、習慣として守るように教えられているものが嫌いだ。
ある時まで私のような問題意識を持つ人間に答えを与えてくれるものは、アメリカにはないと考えていた。
しかし、ラッシュドゥーニーの著作を読んで考え方を変えた。
彼は、私と同じ問題意識を何十年も前から持っていて、それを研究していた。
彼の書物を読んで、問題がかなり整理され、また深い知識を与えられた。
ラッシュドゥーニーの著作には、膨大な量の書き込みをした。
毎ページに星印がついて、注記が記されている。
予備校で教えていた時は、週3日出勤して27万円の報酬があったので、授業がない日には毎日10ページ程度ファミレスで読書した。
当時、新しい発見の連続で、思いついたことや、考えをまとめたものを余白に書きこんだ。
ヴァン・ティルの著作は、ボロボロになるまで読んだ。
表紙が取れたので、ガムテープでつなぎ、ホチキスで止めた。
クリスチャンが学ぶべきエッセンスが詰まっていると思う本は、ラッシュドゥーニーのThe Institute of Biblical Law(聖書法綱要)とヴァン・ティルのDefense of the Faith(信仰の防衛)である。
これらの要点については、何度もこのHPで触れているので、実際に読むとかなりとっつきやすいと思う。
私が訳した日本語訳はHPにあるが、3分の1どまりである。
なんとか全編訳したい。
あるご一家が私の翻訳した聖書法綱要を用いて毎週礼拝を行っておられる。
この本は、全世界で4万冊売れたと言われるが、影響力は巨大である。
キリスト教思想を根底から塗り替えたと言っていいだろう。
この本に1986年に出会い、1987年に聖書法綱要の読書会を開いた当時、新しい運動が始まったことをひしひしと感じた。
その後、大きな霊的な戦いが始まった。
それは今でも続いている。
この運動にかかわるわれわれは、歴史的に特筆すべき非常に重要な役割を負わされていると考えるべきだ。
(2)
再建主義の考え方に変わってから、失ったものは多い。
友人、家族を失った。
孤独になった。
経済的にも社会的にもどん底に落ちた。
しかし、根源的につきつめて考えてきたので、確信はゆるがなかった。
思想的な面で、様々な文献を読み、学問的に「まともな」意見を身に着けるようにしてきた。
近代哲学史をクリスチャンの立場から批判的に見るという点で、非常に役に立つのがドーイウェールトである。
ドーイウェールトの著作もボロボロになるまで何度も何度も読んだ。
1冊だいたい2万円するようなものばかりであるが重要著作はすべてそろえた。
敵を攻撃するには、敵を正確に把握しなければならない。そういう意味において彼の著作は非常に有益である。
ただし、ドーイウェールトは、新しい原理を提供することはできなかった。
律法を否定したから。
「聖書を前提とする」立場を取らなかったので、彼の立場は不徹底であり、その他大勢の神学者と同じように「理性至上主義者」にとどまった。
(3)
残念ながら、上司で私の問題意識を理解した人は一人もいなかった。
米国ではスタンダードと見られていたヴァン・ティルのキリスト教思想について、日本人で理解している人はほとんどいなかった。
だから誤解を受け、あたかも異端の運動であるかのごとくとらえられた。
それゆえ、私は、1980年代後半から、問題意識という意味では、最先端にい続けたと言える。
この活動がどれだけの価値を持つか一般に理解されるまでにはまだ時間がかかるだろう。
しかし、いったん理解が進み、重要性が理解されれば、運動は爆発的に進展するだろう。
だから、若いクリスチャンは、ぜひヴァン・ティル、ラッシュドゥーニー、ゲイリー・ノース、グレッグ・バーンセンらを読んで理解し、適用していただきたい。
注意すべきなのは、今のディスペンセーショナリズム神学では、教会は確実に死ぬ。
キリスト教の影響はゼロになる。
世界の未来はわれわれにかかっているということを理解していただき、どうかこの運動に参加してほしい。
2014年8月19日
ホーム