誠実にコツコツ仕事をしたものが勝つ
あるクリスチャンの飢餓対策団体のトップが教会に来てこう説教した。
「私は、南米の人々が最高のコーヒー豆を日本に輸出し、自分たちはグレードの低い豆でコーヒーを作って飲んでいるのを知ったときに、コーヒーを飲むのをやめました。」
これは、おかしな話である。
彼らは、輸出することによって外貨を稼いでいる。
外貨を稼ぐことによって、必要な品物を海外から輸入できる。
もし日本人がコーヒーを飲むのをやめれば、彼らは稼ぎが減り、外貨不足で輸入できなくなる。
輸入ができなくなれば、必要な原材料が不足するので、産業は衰退し、経済が成立しなくなる。
結局、日本人が最高の豆でコーヒーを作って飲んでいるおかげで彼らは生活できる。
「贅沢は敵だ」みたいな考え方はクリスチャンらしくない。
価格は需要と供給によって決定される。
この価格決定の仕組みを人為的に破壊するのが共産主義である。
中国が、上海株下落に歯止めをかけようとして、様々な規制を設けて乗り切った。
乗り切ったかに見えるが、実質、「この国は統制経済から脱出できていない。政治によって大損する可能性がある」という判断を外国人に許した。
今後、外国資本は、中国への投資をためらうことになる。
「人為的操作により天国を作る」「エリートの指導によって世界を動かすことができる」というのが共産主義の基本である。
つまり、共産主義とは人間をメシアとする思想なのである。
需要と供給によって価格が決定されるのは、あたかも「水が上から下へ流れる」がごとき神が創造された自然の秩序である。
この自然秩序を人間が変えられるとする。
神のライバルになろうとするイルミナティらしい発想である。
株式や商品売買の相場は、需要と供給によって成立する。
ガソリン価格が決定されるのは、どれだけ需要があり、どれだけ供給があるかによる。
需要がひっ迫すると価格は高騰する。
供給が過剰になれば、価格は下落する。
通貨も同じである。
日本円の需要が高まれば、円はドルに対して高騰し、需要が低くなれば下落する。
政府が意図的に円を過剰に供給すれば、円の価値は下がり円安になる。
しかし、国の実力が伴っていなければ、市場介入は一時しのぎにしかならない。
ロシアがどんなにルーブルの下落を防ごうと市場介入しても、ロシアの経済の中心である原油やガスの需要が下落していれば、投資が減って、ルーブルの価値は下がる以外にはない。
ルーブルの価値を上げようとするならば、ロシアは原油やガス以外に新しい産業を作る必要がある。
国際的に競争力のある製品を作る技術を磨く必要がある。
しかし、資源だけで食べていける国において、技術を発達させるのは至難の業である。
周りにバナナやパイナップルが自生している環境の人々が懸命に働こうとしないのと同じである。
プーチンが日本にしきりにすり寄っているのは、日本の技術が欲しいからである。
自国の産業を育成する必要があるからである。
日本は資源のない国であるという自覚があるので、産業の育成に励んできた。
だから、基本的に数字では測ることのできない国力がある。
世界が沈没しても、日本の技術がないとやっていけない分野が多数存在するので生き残ることができる。
つまり、価格を人為的に操作しても、実力がない国の通貨が下落し、実力のある国の通貨が高騰するのが自然の理なのである。
繰り返すが、上記のクリスチャンの団体の長のような発想は、共産主義的であり、クリスチャン的ではなく、悪魔的である。
自由市場における価格決定のシステムを拒否すること、たとえば、商品相場や為替相場を否定し、政府などによる人為的操作を認めることは、聖書的ではない。