人間にとって神は、そのほとんどが神秘である。

人間がどんなに賢くなっても、神のごく一部しか知ることができない。

われわれは、神がどのようなお方であるか、その一部を聖書を通じて、そして、被造物を通じて知る。

しかし、神はご自身を完全に知っておられる。神にとって不可知な部分は存在しない。

神は無から世界を創造された。

それゆえ、神にとって、世界はことごとく明らかである。

しかし、人間にとって、世界はその大部分が神秘である。

神はご自身についても世界についても完全な知識を持っておられるので、「完全に合理的」である。

われわれは、啓示と経験を通じて神と世界のごく一部を知ることができる。

われわれにとって、現実のほとんどすべてが神秘である。

これが、正統派キリスト教の世界観の基本である。

これに対して、ノンクリスチャンの世界観は、「神を含む全世界の不可知性・神秘性」を基礎とする。

ノンクリスチャンは、神と被造物を明確に区別せず、神も被造物と同じレベルの存在と考える。

人間が世界のほとんどを知らないのと同様に、神も不可知な神秘の中に存在すると考える。（*）

ノンクリスチャンにとって、神の創造とは、「無始無終の自然秩序」に対して追加されたものである。

コンピュータで言えば、はじめに自然秩序というOSがあり、そこに神というキャラが自分の領域を作った、という。

違う。

聖書によれば、神は無から世界を創造された。神はOSそのものの創造者である。

ノンクリスチャンの世界観において「自然は究極」なのである。

神は、人間や他の被造物と同じように、その自然の中で活動する一人のキャラでしかない。

だから、神にとっても自然には不可知な部分があり、神秘な部分がある。

クリスチャンの世界観において「神は究極」である。

神は、人間や他の被造物とは「質的に異なる」存在である。（**）

神が世界のOSを無から作ったので、神に不可知な部分や神秘な部分は存在しない。

それゆえ、神にとって世界はことごとく合理的である。

クリスチャンは、この「徹底的に合理的な世界」を前提として思考する。

それゆえ、キリスト教は「合理主義」なのである。

しかし、ノンクリスチャンは「神秘な自然が究極」なので、「非合理主義」なのである。

クリスチャンは、神が世界の支配者なので「正義は最終的に必ず勝利する」と信じることができるが、ノンクリスチャンは世界を非合理的なものと理解しているので「正義が最終的に勝つかどうかわからない」と考える。

ご自身と世界のすべてについて知識のある神に依存するクリスチャンは、「究極的に安定した世界観」を持っているが、どうやって始まり、どうやって終わるかわからない自然の中で、誰が支配者であるか不明なノンクリスチャンは、「究極的に不安定な世界観」しか持てない。

それゆえ、聖書において、クリスチャンの象徴は「不動の陸」であり、ノンクリスチャンの象徴は「たえず揺れ動く海」である。

（*）

「神の理解不能性」という正統派の概念を、現代思想が奉じる「宇宙の究極的神秘性」と混同するのは非常に危険である。現代思想一般、特に現代論理は「神は、せいぜい、全体としての現実の一局面でしかない。それゆえ、人間が暗闇や神秘に囲まれているのと同じように、神ご自身も闇や神秘に囲まれている」と・・・考える。つまり、現代思想は#us#究極の非合理主義#ue#を信じるが、キリスト教は#us#究極の合理性#ue#を信じる。これ以上根本的に対立する二つの思想を思い描くことは難しい。これは知識の分野で考えられ得る最も基本的なアンチテーゼである・・・。神の究極的合理性という概念を捨てれば、あらゆるキリスト教神学の基礎そのものも取り除かれる。」
-- Cornelius Van Til, #is#An Introduction to Systematic Theology#ie#, (Phillipsburg, NJ: Presbyterian and Reformed Publishing, 1995), p. 13.

”ヴァン・ティルは・・・いつも「キリスト教の世界観は、大きい方の円(神)が上にある、明確に区別される二つの円(創造者と被造物を示す)で表される。一つの円しかないほうは、非キリスト教的世界観を象徴し、人間と神(もし存在するならば)は同じレベルにあり、一つの現実の一部であることを示す」と教えていた。”

-- John Frame, #is#Cornelius Van Til: An Analysis of His Thought#ie#, (Phillipsburg, NJ: Presbyterian and Reformed Publishing, 1995), p. 27.

2019年9月12日