償いの程度
牛とか羊を盗み、これを殺したり、これを売ったりした場合、牛一頭を牛五頭で、羊一頭を羊四頭で償わなければならない。
もし盗んだ物が、牛でも、ろばでも、羊でも、生きたままで彼の手の中にあるのが確かに見つかったなら、それを二倍にして償わなければならない。(出エジプト記22・1, 4)
多重賠償は、正義の原則に基づく。羊は、出生率が高く、食肉・羊毛・衣服など用途が広い。羊を盗むことは、他人の財産の現在と未来の価値を奪うことである。
…牛は、訓練により荷車を引いたり、畑を耕したり、様々な農作業を行わせることができる。牛は食肉としてだけではなく、調教による様々な作業にも利用できる。そのため、調教による技術の習得にかかる時間と労力の分だけ賠償の倍率が上がる。
ここで、賠償の原理が明らかになる。賠償は、盗品の現在及び未来の価値だけではなく、特殊な習得技能も考慮に入れなければならない。
(R. J. Rushdoony, Institute of Biblical Law, Nutley, NJ, Craig Press, 1973, pp. 459-60.)
牛にはなぜ5倍の償いをしなければならないのか。なぜ4倍ではないのか。おそらく、牛は、荷物を運ぶための動物であり、それゆえ、支配の道具だからだろう。
牛は、羊ほどではないにしても、従順である。しかし、神の支配の契約を象徴する。5という数字は、聖書契約と関係する。また、イスラエル軍の編成は5という数字に基づいていた。(James B. Jordan, The Sociology of the Church (Geneva Ministries, 1986), pp. 215-16)
数字の5は、支配と関係がある。盗まれた牛を殺すことによって、その泥棒は、自分の現在の楽しみのために、他人の経済的未来を象徴的に犠牲にする。
(Gary North, Tool of Dominion, p.525.)
2015年9月15日
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